駄菓子は駄菓子。
思い出の味。
母の手料理、小学校の給食、近所の食堂。色々あると思うが小中学生時代によく通った駄菓子屋も僕にとっての思い出の味だ。
その駄菓子屋はおばちゃんが一人で切り盛りをしており、僕の通った小中学校のすぐそばにあったので放課後などによく友達同士で集って遊んでいた。
「おばちゃんスルメイカいくら?」
「30円」
どのお菓子も大体10〜50円くらいで売っていたので色んなお菓子を楽しむ事ができた。しかし、ペペロンチーノという小さいカップ麺だけ60円と少し高くてなかなか買う事ができず、僕の憧れの食べ物だった。
小学生の頃、僕はペペロンチーノがものすごく食べたくて親にねだってお小遣いを60円もらい、60円を握りしめて意気揚々と駄菓子屋へと向かった。ペペロンチーノはお湯を捨てればそのままパスタとして食べられ、お湯を残せばラーメンとして食べられるのだ。
王道のパスタもいいけどラーメンだとスープも飲めちゃうな〜〜!
う〜〜〜ん迷うな〜〜〜!と思っていたらすぐに駄菓子屋についた。迷う事なくペペロンチーノを手に取った。
「これください!!!」
「60円」
「60円ちょうどでお願いします!」
「あとお湯代が5円だから65円。」
??????????????????????????
お湯代5円?なに?今までそんなのあったっけ?僕だけ?
頭が真っ白になった。
聞いたら少し前からお湯代として5円を徴収する制度ができたらしい。
結局全然食べたくない練りあめを買った。
数日してからお湯代も持ってペペロンチーノを買った。こんなに美味しい食べ物があるなんて!と衝撃を受けた。ラーメンとして食べたのだが、フタを開けた途端、ニンニクの香りが鼻腔をくすぐりスープを飲んだら全身に染み渡るような感覚だった。麺もちぢれ麺で、スープと絡みつきもはや駄菓子じゃなくない?とすら感じるほど絶品だった。
それから数年が経ち、高校を卒業してから久しぶりに駄菓子屋に寄った。
店もほとんど変わってなかった。おばちゃんは流石に老けたかな?という印象だった。
久しぶりに思い出のペペロンチーノを買ってみた。なぜかお湯代の制度が無くなっていた。なんだったんだよ。
3分待ってフタを開けた。
そうそう、変わらない、この香り。
いただきます。
ズルズルッ!!!!!
しょっっっっっっっっっっっっっぺ!!!!!!!!!